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くらしのこと市参加作家連載:小川麻美


「今日も ひといき ひととき」


小川麻美



今年のとある春の日。

仕事が一段落し、久々に小さな旅にでようということに。

いくつかの目的地を廻ったあと、最後にずっと行ってみたいと思っていた川に向かいました。

 

いざその川に着き、水の流れが耳に心地よく、大きく深く呼吸をしながら

ゆっくりとその川原を歩き始めました。

 

しばらく歩くと、少し離れて草が茂っている先に、

赤い花らしきものが咲いているのが目に入りました。

近づいていくと、一輪だけ、、、何の花だろう・・・?と。

 

さらに近づいていったところ、突然、

「にゃあ!」と その花の傍らに猫が横たわっていたのです。

びっくりして「猫がいるー!」と呼んだかいなかのうちに

その猫は足元に擦り寄ってきました。

よくよく見るとまだ幼く、やせ細っていました。

 

その川原は見渡す範囲に民家などはなく

遠くの方に工場のような建物が見えるくらい

どこかの飼い猫が散歩しているような場所ではありません。

どう見ても弱っているし、ずっとにゃあにゃあ鳴いて離れようとしません。

 

「どうする・・・・??」

「どうしようか・・・・」

「うーーん・・・・・・」

 

そんなやりとりをしていると よたよたと川の方に歩いていき

まるで空腹を満たすかのように水を飲みました。

そんな姿に

 

「・・・連れて帰ろう・・・」となったのです。

 

 

それがこの子との予期せぬ出逢いでした。


 

数年前から、「猫」という存在がなんとなく気になるようになって

表情だったり、仕草だったり

たまに仕事場に出入りする近所の子たちをたまに眺めたり撫でるくらいで、でも

いつか一緒に暮らしてみたいと心のどこかで思っていました。

とはいえ現実的に可能なのかどうかを考えたときに、

なかなか実現にいたることはありませんでした。

 

この子と出逢ったとき、現実的なこと云々よりも

直感というか、とにかくこの出逢いを見過ごしてはいけないという強い何かを感じました。

普段いろいろ迷う性分の自分が、すぐに決めたことに後で自分自身で不思議な気がしましたが。

 

半ば勢いで連れて帰ってきたものの

動物と暮らすこと自体生まれて初めてのことだったので

しばらくは戸惑いや心配になることばかりでしたが

徐々になれていき、今では、この子と触れ合うひとときが 

忙しい合間にほっと気持ちがほぐれる自分にとってとても大切な時間となっています。

 

気持ちよさそうに無防備な寝姿を見ると平和な時間に満たされます。

つい一緒にのんびりしたくなってもしまいますが。

 

この子との出逢いに感謝。

ともに過ごす時間を愛おしみ育んでいきたいなぁと思う今日この頃です。




くらこと参加作家連載記事。

明日も更新致します。

ご覧くださいね。




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