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第2回くらしのこと市ルポ:後編



【前編】に引き続き後編をお届け致します。ご覧下さい。





次にお話しを伺ったのは女性のお客さん2人だ。


カフェで食事をなさったのですね?「土鍋ごはんと七つのおかず」の感想を頂けますか?


「美味しかった。机についた人、全員の器も、ひとつひとつ違っているのが良かった」


「器ひとつで、ご飯が美味しく感じられるのだなということを改めて実感しました」


ありがとうございました。



僕もくらことのシミュレーションで、カフェスタッフの二人、川手さん・山梨さんがつくった「土鍋ごはんと七つのおかず」を頂きました。七つのおかずは、メインが春巻き。プルーンとカマンベールとくるみにささみを挟んだもの、トマトの中に干し梅入れたもの、キュウリに味噌マヨネーズ添えたもの、ローゼルの甘酢漬け、梅干し、大根ゆず味噌乗せです。


美味しかった、というのが素直な感想。

七つのおかずの彩も良く、まず、眼で楽しめるのが良かった。そして、それら平皿に並べられた七つのおかずに、順番に箸を渡すのが単純に楽しかった。眼で見て美味しくて、箸を運ぶ楽しみもあって、さらに味もいい。土鍋で炊いたご飯にそれらおかずを合わせると、またその旨味も増したように思った。満足です。ごちそうさまでした。



次にお話しを伺ったのは、器の作家さん、山崎裕子さんだ。



「どこかに行って美しい物を観る。ではなく、自分の生活に美しい物が入るということの方が、効果があるというか、ダイレクトに楽しい。自分の生活の中で楽しめるものを目指して器づくりをはじめたので、くらことのコンセプトには共感しています」


生活の基本ですものね。


「お茶を飲むときにきれいだなってホッとするというか、どこか余所じゃなくて、自分のところで美しなと感じられるものが大切」


その考えは昔からですか?くらことのコンセプトにすごく近いですが?


「前からですね。でもこういうイベントに人が集まるってことは、同じように考えている人も増えたっていうことですよね?自分と同じように感じている人がたくさんいると思うと嬉しい」


基盤である生活に、彩を与える物を大切にする山崎さん。生活が生きることの中心であることを考えさせられる対話でした。



14時になった。カフェスペースの隣のスペースにて、スタッフの米澤さんが司会を務める、「くらしのトークショー」が始まった。話し手は、早川靖さん(陶磁)、フジナミチハル(フード・Chipakoya)、名倉くんの三人だ。


前回のトークショーとの大きな違いに、パネルディスカッションがあった。ステージの四人がそれぞれ自前で平日の朝ごはんと休日の朝ごはんを撮影し、それをパネルで見せ合いながら言葉を交わすというものだ。こうして、作家さんやスタッフの日常そのものが切り取られ、作家さんなら作品のことやつくることを聞いたあとでそれが提示されたのには、興味をそそられた。


約40分弱のトークショーだったが、あっという間に終わったように思えた。

そして今回、「誰もいない会社で一人リハーサルをしている」と、言っていたスタッフの米澤さんの司会振りが良かった。アドリブは大の苦手と自称する彼女が、懸命に、話し手の会話を深めようと、かなりつっこみを入れていたのが印象的だった。早川さん、フジナミさんの真っ直ぐな人柄もよく引き出されていたように思う。



次にお話しを伺ったのは、前回のトークショーに話し手として参加して頂いた、紙モノ作家のmuniさんだ。muniさんは今回、ひとりの使い手としてこの会場に足を運んでくださったという。


「トークショーの感想。つくり手の普段の生活が垣間見れるのが、良いところですよね。つくり手の方が、どんな生活をしているか、気になりますし。そこがトークショーのいいところじゃないですかね。パネル見せながらも、言葉だけでなく、眼に訴えるものも用意していて。新しい形が見れて僕は良かったと思っています」


お客さん目線でのくらことの感想を。


「晴れたというのが一番大きい。この景観と作家さんの作品が溶け込んでいるのがいいですね。あと土鍋でご飯を炊くこと。今便利な世の中になって、ジャーでタイマーセットしてご飯を炊くのは当たり前になっていて。こういう自然の中でアナログ的なところを提供出来るのもいいと思うし。ホント、人間の生活の原点を、スタッフさん、方向性を考えてるなぁーと思います。だから、第三回目がとても楽しみですよね」


要望があれば?


「去年は各ブースに、物づくりに対する気持ちが書かれた紙が貼ってあった。それが今回もあっても良かったのにな、とは思いましたね。使い手とつくり手の間に作品があるのだけど、それを通して会話が出来る仕組みがあればな、と思いました。作家さんからの一方通行にならずに絡める何かがあれば、くらしのことについて考えるきっかけになるのかなと思いました」



次にお話しを伺ったのは、トークショーで司会を務めた米澤さんだ。


「やり切りました。でもお客さんが身内だけだったので。次はあるのかな?今回教室が出来なかったから。それやらないで、トークショーという感じなんで、次は教室に力を入れたいと思いました」


スタッフとしてくらことに関わっての感想を。


「作家さんと密になる。前夜祭もあったし、トークショーのイベントもあったし。その上で作家さんとの一体感について考えました。作家さんと一体感があるってこんなに楽しいのかって思った。その分責任がある。だから宣伝にも力を入れました」


くらことにお客さんとして回ってみて、すごく作家さんが積極的だなと思ったのですが。


「スタッフとのやり取りから、くらことの趣旨を作家さんが汲み取って、そうしてくれているのなら嬉しいです。もちろん、それ以前にいつも積極的な姿勢でお客さんと話されてる作家さんもいると思うのですけど」


反省点は?


「3時でこのお客さんの入りはダメでしょう。少ない。朝はたくさんいたんですけどね。ARTS&CRAFT静岡の場合、3時以降の吸引力となるのが「まちきれない! おやつセット」なんですけど。くらことの場合もそういったものを考えないと」


この後、米澤さんと前回のARTS&CRAFT静岡ルポ・前編の話しなった。彼女はいう。


「橋本さんの言葉に、スタッフはまとめ役と、聞き役、自己主張役がいて、これからはもっとまとめ役が育っていかなければならない、とあったんです。で、私は自己主張役なんですけど、自己主張役になれたのも実は最近なんです。それまでは、周りの空気を気にして意見を言えなかった。それが最近、ようやく言えるようになったので。橋本さん、名倉さんには、「もう少し待ってください」という内容のメールを出しました」


この「もう少し待ってください」は「私は変わりますから」と同意だ。



次にお話しを伺ったのは、一回目に出展して頂いているフードの作家さん「ユーカリカシテン」さんだ。


お客さんとしてこのイベントを観ての感想は?


「カフェで食事をしている時に、一人一人の器が違うことに気付いて、あ、こんな使い方も出来るんだという風に気付いたんです。そこで自分の生活にリンクした。器を見てても、家でどうやって使おうかと悩む時もあるので、そういう時に実際使っているのを見れると様子がわかるというか」


料理の味はどうでしたか?


「全体的に美味しかったですけど、ご飯と合わせたいおかずなのかな? と思う物もあった。プルーンなんですけど、これはおかずというよりおつまみかなって。私のイメージではお米が主役だと思っていたので。美味しかったんですけど、私のご飯のイメージに合わないものもあったかなって」


家で土鍋で炊いてみようと思いますか?


「うちは鍋で炊いているので。今度、土鍋でもと思いました」


要望があれば。


「カフェがスムーズでなかった。前回もなんですけど、ご飯が一時間待ちとかで、何も食べれなかったお客さんがいたっていうのも、何人かから聞いてますので。でもまだ一回目だからかなぁ〜って、思ってたんですけど。慣れないところで慣れないことをやっているから。人数が足りないのかもしれないですけど、全然改善出来て、全然良くなると思います。せっかくの色んな想いや志がもっと活かされると思います」



次にお話しを伺ったのは木藝舎の八木さんだ。


「お疲れ様でした」


あと30分くらいで終わりですね? ではくらことの感想を。


「はい。僕は朝、駐車場にいたのですけど、車がいっぱいで。人の出もあるけど、作家さんのチョイスも素晴らしくて」


八木さんから観たスタッフの印象を。


「名倉さんがまとめてるっていうのもあるんでしょうけど、みなさん人柄が良くて。そこに混ざって楽しませて貰ってます(笑)」


前夜祭も色々とやって頂いて。ありがとうございました。


「僕も楽しかったです」


前夜祭には、前夜祭でしか話し合えないだろうってことも作家さん同士あって。


「そうやって、作家さんが刺激し合って、ヒントを与えあえればいですね。でもホント、完成度の高い作家さんたちなので、来る人も「違う」っていう風には言ってますよね」


八木さん自身、くらことに影響を受けてくらしが変わった側面はありますか?


「あります。包丁を持って料理をちょっとはじめています。それまでに料理はやったことないのですけど。季節の物をお皿の上に乗せる、みたいな。まだはじめたばかりなので、この時期のこの料理にはこの器がいいって、もうちょっと見極めてからね、一点ずつ買っていきたいなって思ってます。生活が変わりましたよ」


嬉しい台詞ですね、ありがとうございます。では最後に要望があれば。


「年に一度、続けて頂きたいな。というのが一番の要望です」


ありがとうございました。


八木さんの料理の話しは、すごくシンプルな変化例だと思った。そして、料理のことを語る八木さんもすごく嬉しそうに語ってくれていたのが印象的だった。



次にお話しを伺ったのは、「みらいのあなたへ@くらしのこと市」でカメラマンをやって頂いた「OHNO CAMERA WORKS」の大野さんだ。



「今日もたくさん撮らせて頂きまして、10組くらい。開始が12時からなので、充分、僕も楽しく時間を過ごしました」


今回は背景が木藝舎さんがつくってる古材のパーテーションですよね?


「木藝舎さんでやったといういい思い出になるのでと思います」


今回のくらことから、ご自分にフィードバックされた部分があれば?


「生活が豊かになるものがたくさんあるので、仕事をさせて頂いているんですけど、心が豊かになるというか。見ているだけでも刺激にもなるし、そういう意味ですごく良い場所だなという風に思います」


最後の要望があれば?


「食事が食べれなかったというお客さんの声を聞いたので、もう少し何かあればなと」


ありがとうございました。




次にお話しを伺ったのは、カフェスタッフのお二人、スタッフの川手さん・山梨さんだ。


今回、どんな風にメニューが決まっていったのですか?


「二人で七種のおかずに試作を決めたのだけど、見た目とかを考えた時に違うんじゃないかと。シミュレーションの二、三日前に、ガラッとラインナップを変えました。最初、コンセプトを秋の山の色のイメージと考えていたのだけど、実際にお皿に盛った時に、料理を出された時の驚きとか、面白さがないなと思って」


カフェで気を使った点は?


「今回、土鍋ご飯がメインだから、炊き方に失敗は出来ない。そこに気を使いましたね」


周りからの反響は?


「器の作家の前田さんが言っていたんですけど、カフェでご飯を食べている時に、前田さんのお皿に盛り付けられた料理を「素敵」って言っているお客さんがいて、その後、前田さんのブースに来て、器を買ってくれた、と聞きました。それが聞いていて嬉しかった」


「返って来るお皿が、食べ残しがなくて嬉しかった」


「作家さんたちのおにぎりだったけど、みんな美味しかったと言ってくれて嬉しかった」


反省点は?


「揚げ物が難しい。春巻きを三角にしたのはいいんですけど、それが揚げ辛くて苦戦しました。最後の方に美しく揚げることが出来るようになったけど、最初の方はいびつで……」


素材はどこから仕入れましたか?


「食材は、川手家のお野菜だったり、山梨家の梅干しだったり、静岡県産のものだったり」


身近にあるものですね。では、最後に、今回のくらことを通じて変われた部分を。まず、川手さん。


「楽しかった。去年はやらなきゃやらなきゃで、終わって楽しかったかと言われればどうだっただろうというのがあったけれど。今回も疲れたけど、今すぐにでも眠りたいけど、楽しかった」


次に、山梨さん。


「同じです。去年は名倉さんに怒られる夢を見て、当日を迎え、アワアワ言いながら終わったけど、今回はおにぎりのワークショップとかもあって、みんなで一緒につくってる感じがして楽しかったです」


美味しいご飯をありがとうございました。


今回、二人はものすごく、くらことに労力を注いているのだろうと、はたで見て伝わって来た。前回のカレーに僕は批判的なことを言ったけれど、それに対して二人は、「尚更闘志に火が点いた」と言ってもくれた。

そんな二人がつくった今回の「土鍋ごはんと七つのおかず」は本当に美味しい物だった。そこに辿り着くまでの試行錯誤や、様々な行程。それを経た上でのこの結果。それが何より、二人の変化の証なのかもしれないと僕は思った。



そして、最後のお話しを伺ったのは、名倉くんだ。


くらしのこと市、お疲れ様でした。では、今回の感想を。


「くらことはまだ二回目だし、成功どうのこうのと話しをしても仕方ないけど、スタッフとの取り組みに関しては、過程から着地点まで概ねやれることをやれたように思います」


各企画について何かあれば?


「カフェはひとつの企画として、単にくらことカフェのメニューをつくっておしまいではない、お皿の上にあるものをイメージすることが出来ていたように思います。それは去年の反省から来ているかなと。」


「飯碗展は形にはなっていたけど、販売につながらなかったということは、自分たちがそこまで手がまわらなかったということだよね。それは真摯に受け止めたい。飯椀展は一生くんがレイアウトをやってくれて、飯碗を並べている過程でテンションがのってきて、植物をレイアウトに入れたりしだした。それがいいなと思ったよ。彼は普段見ている様々なものを、自分の解釈で実際に形にするべきだと思ってます。そうじゃないと彼の見ている景色が人には伝わらないから。」


「トークショーは米澤さんが頑張ってくれた。役者兼舞台監督みたいに。声のトーンだったり、色々なことを考えた上で、自分を形にしているなと。今後はトークショーで伝えたかったことをトークショーとは違う形で伝える。そういうことを米澤さんをはじめとするみんなで考えていきたいかな。」


今回の反省点は?


「まず、くらことやってみて良かったと思うよ。そこに参加する全員が、川手さん、山梨さん、米澤さんのように各自ひとつの企画を持っていたかと言えばそうではないけれど、くらことのスタッフとしては目指すべき方向がより鮮明になったから。工作の「つくる」ではなく、創造の「つくる」をくらことの中でやっていこうと改めて思った。反省ではなく、これからの目標だよね。スタッフにも、まず身内をあっと言わせるようなアイデアを出して欲しい。完成度ではなく、エネルギーの感じるものを、好きが伝わるものを。まずスタッフ内で響かないと、作家さんたちにも響いていかないからさ。」


「静岡スタッフはやるべきことをきちっとやれる反面、決まりのないものをやる時、いわゆる表現によったものをつくろうとすると、固くなっちゃう。そうじゃなくて、軽さのある部分、抜くところがないと、良い物はつくれないと思うんだよね。考え込むことで固くなったものを、飛躍させるもの、抜きどころだよね? それを伝えたかったのが枯葉のワークショップ。あらかじめルールがある訳ではなく、考えつつ、飛躍しつつ、抜きどころを見付けていく。その連続だと思う。そこでみんなが気持ちいいと思える景色が生まれて、面白いな、綺麗だな、って感覚が自然とルールになっていく。それを、ワークショップという体験で伝えたかったし、それが僕の役目かなって思っていた。でも、勉強になったよ。皆のお陰で。」


最後に、次回のくらことに向けて。


「木藝舎さんで二回目。八木さんには今回も、僕らのしつこい準備に協力してもらって、わがまま放題でやらせて貰ったっていうのは間違いないから、あの場で自分たちが何が出来るのかを考えたいし、本当に自分たちが何をしていきたいか?それぞれが考えながら、皆と話し合っていきたい。木藝舎さんにも何かしてもらいたいよね、思いつきですが。」


「くらことは、自分たちがつくるイベントであるんだけど、参加する作家さんにもっと協力して貰いたい。くらこと故に見せることの出来るものとか、そういったことを一緒に考えてくれる作家さんに出て貰いたいです」


お疲れ様でした。

ありがとうございました。


これは冒頭でも触れたことだが、くらことは「つくること」で「変わり」、「変わる」ことで「生まれた」イベントだと思う。それを今回、間近で見ることが出来、大変、貴重な体験をさせて貰ったと僕自身思っている。


僕自身が考える、今後のくらことは、教室のようなものがやはり欲しいということ。それは、名倉くんの台詞にもあった、「トークショーで伝えたかったことをトークショーとは違う形で伝えていく」という結果の上にある教室かもしれないし、また違うものかもしれないけれど。


スタッフを見ていて感じたことは、変化と不安は対にあるものだとも思う反面、変化を怖れない心には、対に勇気が宿っているとも思えた。そんなみんなには、今回、色々と気付きを与えられたし、シンプルにそんなみんなを良いと思えた。


今後、企画を実現していくという面で、いいものをつくり上げていきながらそれが形になっていったら、どんどんみんなも変わっていけるし、そこには期待している。変化と実現はイコールなのかなと思う。そんな今後のくらことを僕は楽しみにしています。


毎回の長文、読んで頂きありがとうございました。

これにて「第二回くらしのこと市ルポ」を終わります。



うえおかゆうじ 


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